解説

自分はアパートに住んでいる。隣に住んでいるお婆ちゃんのことはほとんど何も知らない。話したことは3回だけ。

アパートに入居して挨拶した時と、友達が間違えてインターホンを鳴らして謝りに行った時と、地震で火災報知器が誤作動してアパート中にサイレンが鳴り響いた時。

自分たちは浅く広い共同体の中で暮らしていると思う。今日食べたものも今住んでいるところも、名前も知らない人が育てたり、建てたりしたものを享受しているのに過ぎない。そんな名前も知らない誰かのことを思い出すための肖像。

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